「自家薬籠」

『自家薬籠  じかやくろう』

使いたい時に使えるもの。
自分の意のままに動かせる人や、完全に身についた技術など。
「薬籠」は薬箱のことで、
自分の家にある薬箱は必要な時にすぐに使えることから。

用例を探してみると、
「自家薬籠中の物」という形で使うことが多いようです。
パソコンを自家薬籠中の物として自由に使いこなす。


類語

『薬籠中物・薬籠中の物   やくろうちゅうのもの』
部下を薬籠中の物とする



出典は、「旧唐書」「新唐書」 狄仁傑(てきじんけつ)伝。

唐の第3代皇帝高宗の皇后であった則天武后の時の話だ。
14歳で第2代皇帝の太宗の後宮に入った武后は、26歳の時に太宗が死ぬとすぐに尼になったが、
その才色を切望した高宗の命に従い還俗、彼の後宮に入った後、皇后となった。

その後高宗が中風を患うと、武后は自らを「天后」と称し数多の名臣たちを死に追いやり流刑に処し、
前皇后の実子であった皇太子を廃すなど暴悪な政治を行った。
高宗の死後、武后の実子である中宗(第4代)、叡宗(第5代)を立てるもすぐさま廃位、
67歳で自ら帝位に就き、国号を周と定めた。

中国史において空前絶後の女帝が出現したこの政変を「武周革命」という。
この頃、狄仁傑という清廉強直で見識の高い名宰相がいた。
彼はこの上なく残忍で頭の切れる武后を直諌、補佐し、乱れていた政治を正し
民生を安定させただけでなく、有能な学士たちを推薦し仕官の途に昇らせた。
それゆえ彼は朝野から尊敬され、門下には多くの人材が集まり
その中には元行沖のような博学多才な人物もいた。

その元行沖がある日、狄仁傑に言った。
相公の家には「美味なるもの(優秀な人材)」がたくさんあります。
食べ過ぎて腹を壊すことがないように私のような苦い薬も傍に置いてください。

「良薬は口に苦いが病には効く。忠言は耳障りだが行いには有益だ。」
という孔子の言葉を引用したのだ。
狄仁傑はそれを聞くと笑って言った。

お前こそがまさに私の薬籠中物だ。
そうだとも、一日たりとも傍を離れてはならないのだ。


上のお話は、こちらの記事を訳しました。 


약롱중물 [藥籠中物]   약롱지물 [藥籠之物]
약농 속의 약품.
항상 곁에 없어서는 안 될 긴요한 인물, 심복.


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Comment

ややや、則天武后とは大した歴史上の人物ですねえ。! なんと言う一生!

「自家薬籠中の物」は、よく耳にします(した?)言い回しですが、出典についてはまったく知りませんでした(; ̄ェ ̄)。記事、ブックマークしました(^_^)。

るるるさん、これ訳されたの? 素晴らしい〜(⌒▽⌒)。おかげでよく理解出来ました!
  • 2014/06/16
  • ハーちゃん
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ハーちゃんさま^^
「自家薬籠中の物」、使っているのを聞いた記憶がありません^^;
ハーちゃんさんにとっては編み物と園芸の技術は自家薬籠ですね♪

原文は、ハーちゃんさんならお手のもの~^^
間違いがあったら教えてください・・・。(大汗
  • 2014/06/16
  • るるる
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