夢魂 몽혼 / 李玉峰 이옥봉

  • Date:2013.10.01
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先日、ドラマのカテゴリに載せた記事の続きです。
ドラマ「宮」の中で皇太后さんが詠んでいた詩です。


夢魂  몽혼

近來安否問如何  근래안부문여하  요사이 안부를 묻나니, 어떠하신지요
月到紗窓妾恨多  월도사창첩한다  달 비친 사창에 저의 한이 많습니다
若使夢魂行有跡  약사몽혼행유적  꿈 속의 넋이 자취를 남기면
門前石路半成沙  문전석로반성사  문 앞 돌 길이 반쯤은 모래가 되었을 것을

お元気でしょうか いかがお過ごしでしょうか
月の光射す絹張りの窓に 私の思いは募ります
私の魂が夢の中をさまよった跡が残るなら
門前の石畳の半分ほども 砕けて砂になっていることでしょう


この詩の作者、イ・オクポン 이옥봉 さんてどんな人だろうと興味が湧きました。
玉峰について書かれたものを見つけたので、自分なりにまとめてみました。


**
16世紀後半、徳興大院君 덕흥대원군(14代宣祖の父)の家系に連なり
忠州北道、沃川の郡守をしていた李逢之 이붕지 の庶出の娘。
庶子であっても父の身分が高いため、それなりに良い暮らしをしていた。
幼い頃から父について詩文を学び、その才能は早い時期からすでに周囲を驚かせていた。

結婚適齢期になり、自分も妾になるしかないことを知った玉峰は結婚をあきらめ、
父に付いて漢陽に行き、腕に覚えのある詩人墨客と交わって過ごした。
玉峰の詩は才気がみなぎり斬新で、都でも多くの賞賛を浴びた。

そうしたある日、趙瑗 조원 という若い学士と出会って熱烈に恋に落ちる。

それを知った父逢之は趙瑗に自分の娘を妾にしてくれと頼むが、趙瑗はそれを断る。
それでも逢之は自分の身分も顧みず趙瑗の妻の父に仲立ちを頼み、
ついに玉峰は望みを叶えることとなった。

そうしてほかの貴族の妾たちと詩をやり取りして平和に過ごしていたところに、
玉峰の一編の詩からとんでもないことが起こる。

ある日、趙瑗の家の墓守をしていた男が牛泥棒の汚名を着せられ捕らえられてしまった。
なんとか助けてほしいと懇願する男の妻の言葉を受けて、
玉峰は夫と親交のある役人に釈放を求める詩を書いて送った。
その見事な詩が功を奏して墓守は無事戻ってきたが、
これを知った趙瑗は思いもよらない行動に出る。

玉峰を追い出してしまったのだ。

家から追われた玉峰は、都の外に粗末な家を得て、
そこで趙瑗への思いを詩に込めて暮らした。

**
「夢魂」も、趙瑗を思って詠んだ詩のひとつです。
心の中で毎日毎夜、
愛しい人の家の門前に立ちつくす玉峰。
あの、紗の張ってある窓の内側にいる人を思って。

それにしても逢之お父さん、
娘が恋する相手の妻の父親に頼みに行くとは。
王家から出た人間が目下の者に頭を下げるなんて当時では滅多にないことだったろうと思うのですが、
それだけ玉峰が可愛かったんでしょうね。

なぜ玉峰は追い出されたのでしょう。
「詩を書かないこと」という結婚の条件を破ったからだという話が伝わっているが、
結婚後も詩を書いていた痕跡があることと、
詩に恨みがあるわけでもない趙瑗がそんなことをするはずはなく、この話は信じ難い、
と本文には書かれています。

それでも儒教が基盤だったことを考えると、女性が詩や書画などの芸術で活躍することは
良い顔をされるものではなかったわけで、申師任堂のような人は例外中の例外だったことでしょう。
趙瑗にとっては玉峰の活動が自分の体面を汚すものと思われたかもしれませんよね。

もう一つ、全くの素人考えですが…
趙瑗は玉峰の才能に嫉妬していたのではないでしょうか。
だから、妾として迎えてやるけれど詩はやめろ、と。
でも玉峰は表に出ないところで詩を書いていた。
ひっそりとやっている分には目をつぶっていた趙瑗だったが、
墓守の一件で玉峰が賞賛の的になったことで嫉妬心と約束を破ったことへの怒りが爆発して
とうとう家から追い出してしまった。

どうでしょうね。
次回に続きます。


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